自然で豊かな美容室


にぎわう大通りからひとつ路地を入ると、そこは静かなエリアになる。通りの雰囲気も落ち着いて、なにかほっとする。そんな路地に面した白い建物の2Fにその美容室はある。大きなガラス窓からは、店の自然な雰囲気を垣間見ることができる。階段をあがり、店に入ってみよう。

店に一歩足を踏み入れると、なんとも自然な暖かさに包まれる。いつか祖母の家の縁側で感じた陽だまりの心地良さのような。2月の博多は、春がそこまで来ているがまだ冷える。外から店に入った瞬間に、かちこちに固まっていた体が開放される。

店はかなり贅沢な広さである。受付と待合室の空間だけで親しみのあるカフェのようだ。店内には白い冷暖房用ラジエータが林の木々のようにデザインされ立ち並ぶ。大きなひとつの空間なのに、いくつかの部屋があるかのようにラジエータでゾーニングされている。それぞれの空間に席が配置されている。他のお客が壁の向こう側にいると、自分だけがこの店にいるかのように思えてくる。こころにゆとりが生まれる。この白い格子のような壁(ラジエータ)こそ、噂に聞いたPS HR-Cという設備なのだろう。この店の自然な暖かさの秘密はこの設備にあったのだ。店のスタッフに尋ねると、「これは空気を使わず、温めた水の熱で暖房をしています。乾燥感が無いので、お客さんにお伝えすると安心してもらえます。」と教えてくれた。確かに、髪の毛にとって乾燥による静電気は大敵だが、この店なら大丈夫だろう。

シャンプーとセットを終え、店に来たときに最初に荷物を置いたロッカールームへ向かう。ロッカールームにはドアがあり、姿見もある。奥には手洗いもある。ここもプライベート空間なのだ。これですっかり身支度を整え、いざ出発。本当に何から何まで豊かな店だった。

PS-dialogue.2013.3

TOPへ