温と暖

 

「暖かい」と「温かい」の使い分けは難しい問題です。話し言葉の日本語では区別していませんが、書くときには区別します。
いろいろ考え方はあると思いますが、私としては、ある空間で感じる放射熱なのか、接触して感じる熱なのかで、おおよそ区別できるんじゃないかと思っています(比喩を除く)。
「暑い」と「熱い」、「寒い」と「冷たい」もそうではないでしょうか。

春、室内、気候、暖炉は暖かく、コーヒー、風、空気、湯たんぽは温かい。
前者は触れずとも感じるもので、後者は触れたり触れられたりして感じるものです。
太陽の熱はもちろん暖かいですが、きっと太陽に触れたら温かい(熱い!)と表現するのだと思います。

こうして考えると、「温」タイプの暖房器具と「暖」タイプの暖房器具があるような気がしてきます。
例えば温風を吹き出すものの場合、温かい風が体に触れることで「温かさ」を感じることができますが、温風から一歩はずれるともう感じられなくなります。
温風の「温かさ」を十分な「暖かさ」に変えるには、空間を小さくしたり窓を閉め切ったり、一カ所でじっと座っていたりしなくてはいけません。
湯たんぽの「温かさ」も触れていなくては感じられません。 もちろん「暖」タイプも、物そのものは触って「温かい」ものです。

放射暖房の表面や、暖炉の表面は「温かい」と感じるでしょう。
ですがこれら「暖」タイプは、「温」を「暖」に転換することに焦点をおいていると言えるのではないでしょうか。
その視点が、「暖」のある空間の活動性と快適さにつながっています。
「温」が探し求めに行かなくては感じられないものである一方、「暖」はその空間で常に感じることができます。
ですから、その空間の中でのびのび自由に、活動的に過ごすには「暖」が必要不可欠なのです。
「暖」なら、空間を小さくする必要はありません。
その空間に合ったサイズで効果的に暖房を配置すればいいのです。
無理に窓を閉め切る必要もありません。「暖」のエネルギーは、窓から一瞬で風のように去ってしまうものではないからです。

「暖」の室内気候デザインは、ピーエスにお任せ下さい!

 

PS dialogue 2015.12

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