湿度の質

 

 

 

 

 

 

 

 

室内に安定した湿度がほしいと言われたら、どうしますか?

閉じられた四角い室内に加湿器や除湿器を投入し、センサーで湿度の変化を感知して、上がったり下がったりするのに合わせて稼動させる。確かにひとつの賢い方法です。産業によってはこの方法がさまざまな問題を解決してくれる手段になることでしょう。これはどちらかというと、湿度を“作る”方法。人工的なので量産も可能だと思います。

でも、方法はそれだけではありません。

外には大きく変化する湿度があります。地域によってさまざまで、私たちに多くの価値ある文化をもたらしてくれた、ありがたい湿度です。地域によって異なる湿度、そして外の気温の変化に合わせて大きく変動する湿度は、大切な資源です。それを使わないなんて、もったいない。たとえば太陽も一日の中で大きく変化する存在です。朝と昼に貯めた熱を夜も有効に使えるように蓄熱する工夫はいろいろあります。大きいスパンで言うと、夏の熱を貯めておいて、冬の融雪に使っている施設もあります。湿度も同じだと思うのです。湿度の変化を価値と捉えて、湿度を貯めて使う。蓄熱ならぬ、蓄湿です。とはいえ、昔はそうした湿度を調整する機能を備えた建材利用は当たり前でした。湿度が高いときに貯めておき、低いときに放出する土壁や漆喰など。しかしいつからか量やコスト的な価値が横行してしまったためか、残念ながら今は主流ではなくなってしまいました。

湿度の地域差や湿度の変化は、いわば湿度の“質”ではないでしょうか。ピーエスは、このような湿度の質的な面を価値と捉えて、湿度をデザインしています。

 

PS dialogue 2016.2

 

 

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