新鮮空気の流れ

フローレンス・ナイチンゲールが1860年に書いた、「看護覚え書」という本があります。(日本語版は現代社から出版されています。訳者:薄井坦子 2000年1月 第6版 ) 今から150年前に書かれたこの本は、とても衝撃的で刺激的で魅力的です。日々の中で忘れてはならない、健康についての基本的な考え方を教えてくれる良い本だと思います。

ナイチンゲールは、看護の第一の原則は“室内の空気を外の空気と同じくらい清浄に保つこと”と言っています。それでは、私たちのオフィスや住まいのことを考えてみるとどうでしょうか。初夏の清々しい日には、窓を開けて新鮮な空気を十分に室内に取り入れたいものです。皆さんのいる場所ではどうですか?

もし窓を自由に開けることが可能な場合、風通しというよりも“空気の流れ”というイメージで空間を眺めてみたいと思います。澄んだ小川のせせらぎのような、新鮮な空気の自然な流れです。小川は上流の方が水が澄んでいて、下流になるほど汚れていきます。新鮮空気も同じように考えてみましょう。室内のどこから入ってきてどこへ流れてゆくのか、です。空気は見えないものですが、空気になった気持ちで想像してみましょう。できることならば、森や緑の多い公園や、また庭のほうから新鮮空気を取り入れ、体の弱い赤ちゃんやお年寄りのいるところへ十分に新鮮空気を供給したいものです。もちろん、勉強する学生や重要な仕事をしているビジネスマンにも、どんな人にも同じです。そして、人の体(脳)に取り入れられ呼吸によって体から出された空気は、また外へ自然に出てゆくようにできれば理想的ではないでしょうか。

PS dialogue 2013.04  写真はPSオランジュリのゲストルーム

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