ノマドのオフィスライフ

 

朝、資料を読みにカフェへ。ほんのり暖められたオープンテラスは、一日の計画を立てるのにぴったり。そとの新鮮な空気を胸いっぱいに吸いこんで、朝の日の光をたっぷり浴びて、しぼりたてのオレンジジュースで、からだが目覚める、そんな私の一つ目のオフィス。

昼、原稿を書きに動物園へ。豊かに生い茂る木々、南国の植物たち、至る所にものいわぬ生命の気配がする。平日の昼の静かな動物園は、実は私にとって一番集中できる空間。大きな日傘が広げられたウッドデッキに陣取り、居心地のいい椅子に腰を落ち着けると、不思議に筆が走るのだ。みずみずしいサラダが山盛りになったおいしい昼食も、ここの欠かせない魅力のひとつ。これが私の二つ目のオフィス。

昼下がり、打合せがあるので本屋へ。ここにしかない貴重な本ばかりのこの書店は、ゆっくり本を吟味するために作られた。インスピレーションの源に囲まれて、担当者とああでもない、こうでもない、と議論も熱を帯びる。ここは、本と本を愛する人たちのための空間。すこしひんやりと整えられた気候は、審美眼を鋭敏化させ、ひらめきを生み出す。大事な私の三つ目のオフィス。

夕方、打合せを終えて、リフレッシュしにプールへ。このプールは更衣室がひろびろとした個室のゆったりしたプール。天井の高いゆったりした空間と、小川のせせらぎを汲んできたような透明な水。もうひとつこのプールのぜいたくなところはその気候。プールサイドが暖かくて、デッキチェアでのんびり読書も出来る。いるだけでもっと活動したくなる。これも私の四つ目のオフィス。

夜、お気に入りの美術館へ。静かで人いない夜の美術館は、私の秘密の読書空間。次の原稿の構想を練るために、この現実の喧騒から離れひっそり芸術が息づく空間が必要なのだ。時には本を片手にソファに身をゆだね、時には絵画の森を歩きながら、次の構想を練る。ここでは光や空気までもがやわらかく静かに流れている。わたしの好きな五つ目のオフィス。

一日の仕事を終えて、家路につく。私の家は、眠りの空間。寝室には、眠るからだのための光、空気、気候がある。明日また新しいものをつくりだすために、きちんとリラックスして、力を蓄えるための、もしかしたら一番大切な六つ目のオフィス。

 

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