PS cantinaの夢 その1

 

夏の思い出 ◯月◯日
夏の日差しを受けた厚い扉を開けたら、そこにはチーズの店がありました。

「チーズのカンティーナ」と言うそうです。

「カンティーナって何ですか?」とお兄さんに聞いたら、
食を楽しむための空間だと教えてくれました。

カンティーナはほんのり涼しくて、古いトンネルの中で遊んだ時の気候みたいでした。
そしてお兄さんは「自然な気候でチーズを貯蔵しながら、いちばんおいしい時に食べるんだよ。」と嬉しそうに言いました。

お兄さんはここで毎日チーズが呼吸する声を聴いているそうです。
私も聴いてみたいなあ。
水滴が滴っている涼しそうなものが気になって、「あれは何ですか?」と聞きました。

でもお兄さんは「秘密。」と言って教えてくれませんでした。
こっそり触ったらひんやりしていたので、きっとカンティーナの秘密が隠されているのだと思います。

売り場の隣にはチーズ工房があるそうです。
お兄さんは「この街の気候がチーズになるんだよ。夏の気候は夏のチーズ、冬の気候は冬のチーズ。」と言いました。
私もこの街で暮らしているけど、チーズも同じなんだなあと思いました。

 

PS dialogue 2017.8

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