漢字の気候 3

 

 

「漆」という漢字が日本に伝来する、ずっとずっと前の、今からおよそ9000年ぐらい前にはもう、日本に漆の文化がありました。漆塗りは、縄文時代から、土器や副葬品、装飾具などの塗装に使われていて、今ではもちろん日本の代表的な伝統工芸のひとつです。

「漆」の右側は、”うるしの木”から樹液が一滴ずつしたたる様を表しています。漆は天然樹脂のひとつですが、さんずいの部首からも連想できるように、脂というより、水と深く関わっています。というのも、漆は、湿度がなければ乾かない、というちょっと不思議な性質を持っているのです。だいたい、湿度75~85%、温度20~30℃の環境で、漆は硬化し、熱にも水にも強い塗料になります。梅雨や初夏に湿度が高い日本は、漆の発達には好都合だったというわけです。

PS dialogue 2015.4

 

 

こちらもごらんください。
漢字の気候 1「涼・寒」のお話
漢字の気候 2 「湿・温」のお話

TOPへ